最終更新日:2026年7月15日
旅館やホテルに泊まる際、内装やインテリア、設備など、人それぞれにこだわりポイントがあるかと思いますが、今ひそかに人気を集めているのが、椅子とテーブルが置かれた窓際のスペースです。あの場所、なんと呼ぶか知っていますか? 実は、正式な名称があるのです。その名称や場所としての役割などについてご紹介します。
旅館やホテルの窓際にあるスペースの名称
旅館やホテルの和室には、窓際に「椅子とテーブルを置いたスペース」があります。外の景色を眺めたり、お茶を飲んだりするのにとても便利なスペースですが、この場所の正式名称を知っている方は少ないようです。あのスペースの名称は「広縁(ひろえん)」と言います。ぜひ、この機会に覚えてみてください。
旅館やホテルの窓際にあるスペース「広縁(ひろえん)」とは
ところで広縁とは何なのでしょうか。なぜ部屋に広縁が設けられているのか、その疑問を解決していきましょう。
・「広縁」の定義は?
日本の家屋には、和室の南の方角に面して板敷の間がありました。建築用語で「縁(えん)」もしくは「縁側(えんがわ)」といい、その幅の広いものを「広縁」と呼びます。一般的な基準としては、幅(奥行き)3尺(約91センチメートル)のものが縁側、4尺(約120センチメートル)以上のものが広縁となります。
・広縁はなんのためにある?
広縁や縁側は日本家屋独特のもので、もともとは建物への入り口、部屋と部屋を行き来する廊下、つまり通路としての役割を担っていました。身分制度があった時代は、室内には立ち入ることの許されない低い身分の者が控える場として活用されていたとも言われています。やがて身分制度のない時代になると出入り口代わりとして、人々が集う場として活用されるようになりました。
もうひとつ、広縁や縁側を設けた背景には「部屋を広く見せられる」という理由もあったと言われています。さらに、南側からの日射しが直接部屋に入ることを防ぎ、畳や襖を日焼けから守る、断熱効果を得るという役割も持ち合わせていました。
広縁の用途
さて、旅館やホテルに設置されている広縁は、どのように使えばよいのでしょうか。基本的には自由に使ってかまわないのですが、次のような使い方がおすすめです。
・サンルームのように使う
まずおすすめしたいのが、サンルームのように利用することです。サンルームとは、太陽光を取り込めるガラス張りの部屋のこと。南側に面していて、雨風をしのぐための窓も取り付けられている広縁は、まさしくサンルームと言えるのではないでしょうか。日光浴を楽しむほか、お茶を飲んだり、景色を眺めながらくつろいだり、心と身体のリフレッシュにぴったりのスペースです。
・濡れたものを乾かす
タオルなど、濡れたものを乾かす場所として活用することもできます。日の当たる窓際のスペースなので、昼間なら乾きも速いはずですし、就寝中も湿気が気になりません。ちょっとした洗濯物もハンガーにかけて干すことができます。
ただし、施設によっては景観や建物保護の観点から、洗濯物を干すことを制限している場合もあります。広縁を利用する際は、客室内の案内や注意書きを確認し、ほかの宿泊者への配慮も忘れないようにしましょう。
・ワークスペースとして使う
近年はノートパソコンやタブレットを持ち歩く人が増え、広縁を「簡易書斎」や「ワークスペース」として使う宿泊者も多くなりました。
Wi-Fi環境やコンセントが整った広縁では、仕事をしつつ、ときどき顔を上げて景色で目を休める──そんなワーケーション的な使い方も楽しまれています。
ワーケーションやインバウンドなど、旅のスタイルが多様化した今、広縁は単なる「窓際のスペース」から、多様な過ごし方ができる居心地のよい場所へと変化し始めています。
旅館やホテルに宿泊する際には、ぜひ「広縁」という名称や由来を思い出しながら、その空間での時間を味わってみてください。
客室の造りを少し意識して見るだけで、過ごす時間も旅の楽しさも、きっと今まで以上に豊かになるでしょう。